
肌の洗い方の基本
お風呂上がりに保湿剤を塗っても、次の日にはまた粉をふいたように乾燥している。そんな声を診察でよく伺います。実は保湿剤の塗り方以前に、洗い方の段階で肌の潤いを落としすぎていることも少なくありません。
お湯の温度は熱すぎないぬるめが基本です。熱いお湯は肌の表面の油分まで洗い流してしまい、洗ったそばから乾燥が進みます。ボディソープは、よく泡立てたものを手のひらでなでるように広げ、ゴシゴシとこすらないようにします。
- お湯はぬるめにし、長湯は避ける
- ソープはしっかり泡立ててから、手のひらでなでるように洗う
- 首・脇・ひじの内側・ひざの裏など、汚れやあせもがたまりやすい部分は特にやさしく
- すすぎ残しがないよう、しっかり洗い流す
- タオルはこすらず、押さえるようにして水分を吸い取る
肌の水分は入浴後、数分のうちに急速に失われていきます。タオルで拭いたらそのままにせず、できるだけ早く保湿剤に進むことが、乾燥を防ぐ一番のポイントです。
保湿剤の塗り方
保湿剤は「量」と「タイミング」で仕上がりが変わります。少ししか塗らないと、いくら回数を重ねても十分にうるおいません。目安になる量と手順を、ステップでご紹介します。
入浴後、肌の水分が逃げてしまう前に塗り始めます。着替えの前に手早く済ませられるよう、保湿剤は脱衣所やお風呂の近くに置いておくと動きやすくなります。
軟膏やクリームは、大人の人差し指の先端から第一関節までのせた量(フィンガーチップユニット)で、大人の手のひら2枚分ほどの範囲に塗り広げるのが目安です。ローションは1円玉大で同じくらいの範囲に塗れます。
すり込まず、なでるように肌の上に置いていきます。指の腹で優しく円を描くようにすると、こすれによる刺激を抑えながら全体になじませられます。
すねやほお、口の周りなど乾燥が気になる部分は、一度塗ってから同じ場所にもう一度重ねて塗ります。
塗り終えた直後に肌が少しテカる、軽くべたつく程度が塗れている目安です。すぐにサラサラに戻ってしまう場合は、量が足りていないことがあります。
保湿剤とステロイド外用薬の使い分け
湿疹やかゆみが出ているときは、保湿剤だけでなくステロイド外用薬を処方することがあります。2つの薬は役割が違うため、まずそれぞれの位置づけを整理します。
| 薬剤 | 主な目的 | 塗る範囲 |
|---|---|---|
| 保湿剤 | 肌のバリア機能を保ち、乾燥を防ぐ毎日のケア | 肌全体、広めに |
| ステロイド外用薬 | 炎症やかゆみを抑える治療薬 | 赤み・かゆみのある部位に、しっかりと |
両方を使う場合は、保湿剤を広い範囲に先に塗り、そのあとステロイド外用薬を患部だけに重ねて塗ります。先にステロイド外用薬を広げてしまうと、必要のない部分にまで薬が広がりやすくなるためです。どちらを先に塗っても治療効果そのものは大きく変わらないという報告もありますが、当院では上記の順番でご案内しています。
- 指示された期間を過ぎても、赤みやかゆみが改善しない
- 患部から浸出液や膿が出ている、熱を持っている
- 塗っている範囲が急に広がってきた
- 「早く治したいから」と量や回数を自己判断で増やした・減らした
ステロイド外用薬は強さの段階が分かれており、部位や年齢によって適した薬が変わります。自己判断で市販薬に切り替えず、次の診察日まで気になる変化があれば048-941-8686までご連絡ください。
外用薬で改善が乏しい場合の注射治療
外用薬でのケアを続けても改善が乏しい中等症以上のアトピー性皮膚炎には、注射による治療という選択肢があります。当院では「デュピクセント」「ミチーガ」による注射治療に対応しており、他院ですでに治療を開始されている方の治療の引き継ぎにも対応しています。
季節によるスキンケアの違い
夏場のケア
汗をかく季節は、あせもや汗による肌トラブルが増えます。汗をかいたらこまめにシャワーで流すか、濡れタオルで拭き取り、汗が肌に残ったままにしないことが大切です。保湿剤はベタつきの少ないローションタイプを選ぶと、汗をかいても不快感が出にくくなります。
冬場のケア
空気が乾燥する季節は、洗浄より保湿の比重を上げます。クリームタイプなど油分の多い保湿剤に切り替え、頬や口の周り、すねなど乾燥しやすい部分は重ねづけを意識します。室内の湿度が下がりやすいため、加湿器を使うなど部屋の環境を整えることも肌の状態に影響します。
季節の変わり目は肌の状態が変化しやすい時期です。いつも使っている保湿剤で足りているか、診察の際に一緒に確認していきましょう。
よくあるご質問
朝と入浴後の1日2回を基本の目安としてご案内しています。肌の乾燥が強い時期は、日中に気になる部分だけ塗り足していただいても構いません。
手のひらで混ぜてから塗る方法もありますが、当院では保湿剤を広く先に塗り、ステロイド外用薬を患部にだけ重ねて塗る順番でご案内しています。混ぜて使いたい場合は、量の調整が必要になるため、診察の際にご相談ください。
量を増やすより、重ねづけの回数を増やす方法をおすすめしています。乾燥が気になる部分にもう一度重ねて塗ることで、うるおいを感じやすくなります。それでも改善しない場合は、別の薬を追加することもあるため、次の診察でご相談ください。
医師 井口 真帆
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